1/7の魔法使い
内容紹介
――世界を救う『魔法使い』になる――遠い記憶の彼方、幼いころに交わした、そんな途方もない約束。その後、約束の相手と離れ離れとなり、交わした約束も少しずつその意味合いを変えていき、いつしか……あの時交わした指輪だけが、約束を証明する唯一の存在となっていた。時は過ぎ、新魔法歴38年。そんな一人の少年の願いを知ってか知らずか、世界は再び観測された『魔女』の存在に震撼していた。一条勇治は、そんな幼いころの約束を果たすため、『魔法使い』を目指すごく普通の少年。少年は、魔法学園への入学を決意し、魔法選抜試験を受験する。しかし、筆記、実技試験の結果にてTOPの成績を収めながら、『魔法使いの素養無し』ただそれだけの、だが明確な理由にて『落ちこぼれ』と認定されてしまう。しかし、その後の再審査にて特例として編入を認められ、半年遅れでマイアレヌス魔法学園への編入を果たす。そこでは、来るべき魔女復活に向けて、優れた魔法の素質を持つ少年少女たちが学園生活を送っていた。学園を見て回る勇治、突然聞きなれた声がした刹那、辺りが闇に包まれた。――カラフルな衣装、その背丈に似合わない巨大な武器、右手に輝く五つ星の指輪を携え、凛とした表情で佇む一人の少女――闇の中から現れたのは……幼いころに離れ離れになった約束の少女、神埼えまだった。突然のことに声を失う勇治。少女は勇治の手にはめていた指輪を見て、言い放った。「勇治……あなたは、私が望む『勇治』じゃない――」言葉の意味も分からず立ち尽くす勇治に、少女は続けて言う。「こっちへいらっしゃい。私はその先で待ってるから――」少女は、そう言い残して去って行ってしまう。だが、そのあとすぐに勇治は知ることとなる――少女の言葉、その意味の『一端』を。その後、学園から言い渡されたのは、『更正科』と呼ばれる『落ちこぼれ』からの卒業。期間は一ヶ月、そこで学園での問題児や成績不良児たちと共に、『全員』が魔法使いとしての素養を発現出来なければ、編入を待たずしてめでたく退学が決定する。そう、俺は――まだ学園の入学すら認められていなかったのだ――――世界を救う『魔法使い』になる――遠い記憶の彼方、幼いころに交わした、そんな途方もない約束。たとえそれが、本来の目的とかけ離れた、ちっぽけなスタートだったとしてもそんな途方もない約束を果たすための第一歩を。今、勇治は歩みだした。